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硬膜動静脈瘻(DAVF)【イシャチョク】

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最終更新日:2022年3月17日

こうまくどうじょうみゃくろう(デューラルエーブイエフ)硬膜動静脈瘻(DAVF)

こちらの記事の監修医師
神奈川県立こども医療センター
広川 大輔

概要

脳は硬膜という膜に包まれており、硬膜にも他の組織と同様に動脈と静脈が通っています。本来、動脈と静脈は毛細血管を通じてつながっています。硬膜動静脈瘻は動脈と静脈が、毛細血管を介さずに直接つながってしまう病気です。けがや血栓症が原因のことがありますが、多くの場合は原因不明です。硬膜動静脈瘻は、年間10万人に0.3人位しか起こらない稀な病気です。硬膜動静脈瘻では動脈の高い圧が静脈にかかり、脳の血液が滞ることで脳圧が高くなります。そのために意識障害や麻痺、頭痛が生じ、重度になると脳出血を起こすことがあります。また、脳と眼の血管はつながっているため、眼の静脈圧が高くなることで充血を起こしたり、眼圧が高くなることもあります。重症の場合には視力の低下や喪失をきたすこともあります。

原因

硬膜動静脈瘻の原因はよくわかっていません。先天的な脳血管の異常、頭部外傷、脳の炎症、手術などによって生ずるのではないかと考えられています。

症状

硬膜動静脈瘻の部位、異常な血管を流れる血液の量、異常な血管が出ていく静脈洞の狭窄具合によって症状が変わります。硬膜の動脈から静脈あるいは静脈洞への速い血流を耳鳴りとして感じることがあります。耳鳴りは硬膜動静脈瘻発見の手がかりの一つです。 脳機能の障害として、しびれ、けいれん、片麻痺、言語障害などを起こします。また、眼の静脈圧が高くなり、物が2重に見える(複視)、眼の充血、眼が少し突き出す(眼球突出)、眼圧上昇、視力低下、視野の悪化などを来すことがあります。

検査・診断

症状から硬膜動静脈瘻が疑われる場合、まずは頭部MRI、MRA(MRアンギオグラフィ)を行います。この検査で頭部の異常な血管を認めた場合、さらにCTアンギオグラフィ、カテーテルによる脳血管撮影で詳しく調べます。カテーテルによる脳血管撮影は診断を確定させるためにも、また動静脈瘻の部位や状態を把握し、治療法を決めるためにも最も重要な検査です。この検査では、造影剤アレルギーや合併症として脳梗塞を起こすことありますので、検査の内容とリスクを納得した上で検査に臨むことが必要です。硬膜動静脈瘻のタイプ(皮質静脈への逆流を認める場合)によっては、治療せずに様子を見た場合、年間8%という高い確率で脳出血に移行するものもあります。また、重症なものはけいれんなど重篤な症状の出現が年間15%、年間死亡率10%と高い値を示すという報告もあります。このようにリスクが高いタイプの硬膜動静脈瘻は、診断を確定したうえで積極的治療が勧められます。

治療

硬膜動静脈瘻塞栓術には、次の四つの方法があります。(1) 血管内治療による硬膜動静脈瘻塞栓術:脚の付け根の血管からカテーテルを差し入れ、細いカテーテルを異常血管の入り口まで誘導し、異常血管の中に液体やコイルなどをつめて異常血管を閉塞させる方法です。完全に治癒しなくても異常血管を減らす効果はあります。(2) 開頭による硬膜動静脈瘻根治術:全身麻酔下で頭皮を切開し、頭蓋骨の一部を外し、硬膜動静脈瘻にアクセスし、病変を取り除くか、異常血管を遮断する手術です。血管内治療の進歩にともない、手術は少なくなっています。(3) 定位的放射線治療(ガンマナイフ、サイバーナイフ):硬膜動静脈瘻に高い線量の放射線を集中的にあてて、異常血管を閉じてしまう治療法です。血管内治療や手術で治りにくい場合で、かつ病変の部位が限局している場合に行います。(4) 経過観察:検査の結果から、重症化するリスクが低い場合、すぐに治療せず経過をみることがあります。(1)~(4)は単独で行うか、複数を組み合わせて使う治療法です。

予防/治療後の注意

硬膜動静脈瘻の予防法は今のところありません。また、一度治療しても進行あるいは再発を来し、新たな症状が見られることもあります。気になる症状が出現した場合には、早めに医療機関に相談することが必要です。また、検査や治療は一度きりで終わるものではなく、かつ合併症のリスクもあります。長期に渡って医療機関を受診しながら、根気強く治療を続けることが大事になってきます。

こちらの記事の監修医師

神奈川県立こども医療センター

広川 大輔

【経歴】
2010年 三重大学医学部卒
2010年 横浜市立大学付属市民総合医療センター 初期研修医
2012年 横浜市立大学付属病院 脳神経外科 後期研修医 
2014年 東京都立多摩総合医療センター 脳神経外科
2015年 神奈川県立がんセンター 脳神経外科
2016年 国立成育医療研究センター 脳神経外科 フェロー
2018年 現職

治療に適した診療科目

脳神経外科

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