最終更新日:2022年3月10日
数多ある薄毛治療…学会が「もっとも推奨する」治療法【専門医が解説】
こちらの記事の監修医師
東京メモリアルクリニック
栁澤 正之

男性型脱毛症(AGA)はすでに原因が解明されていて、医学的根拠(エビデンス)に基づいた治療法がいくつも定められています。今回は、東京メモリアルクリニック院長の栁澤正之氏がその医学的根拠のある治療法について「推奨度」と「治療優先度」に触れながら解説します。
薄毛治療には「ガイドライン」が存在
薄毛の医学的治療には日本皮膚科学会が作成した「ガイドライン」があります※。
※男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
2017年版が最新のものですが、初版は2010年にガイドラインとして制定され、男性だけでなく女性の薄毛についても医学的な薄毛診療の方針が定められています。
インターネットで簡単に閲覧することができますので、興味があれば参考にしてみてください。イチから読もうとすると専門的な文章が続いて読む気がなくなりますので、4ページ目の治療ごとの推奨度表だけみていただくのがおすすめです。
ガイドラインでは、治療方法ごとに医学的根拠の信憑性を「推奨度」として評価しています。ここでは推奨度の高い治療法について解説いたします。
学会が推奨…男性のAGA「第一選択の治療」
男性のAGAに対して「推奨度:A(強く勧める)」なのが「フィナステリド」と「デュタステリド」の内服治療です。
フィナステリドは世界的にも20年間以上AGAの根本的治療薬として使われており、効果、安全性ともにもっとも信頼性の高い治療です。デュタステリドは2015年に承認された比較的新しい薬ですが、フィナステリドとほぼ同等の治療と思っていただいて問題ありません。
AGAについては他にもいくつか根拠(エビデンス)のある治療法がありますが、フィナステリド・デュタステリド治療をしないことにはAGAの根本原因を止められずに薄毛が進行してしまいます。
男性の薄毛の9割以上を占めるAGAについては、「フィナステリド・デュタステリド内服治療が、まず行うべき第一選択の治療」と考えてください。(女性に対しては不適切な治療となりますのでご注意ください。)
女性のAGA治療には「ミノキシジル外用剤」
さまざまなメーカーから販売されているミノキシジル外用剤ですが、こちらは男女ともに「推奨度:A(強く勧める)」の治療です。
男性のAGAについては「内服治療」と「ミノキシジル外用治療」が同じ「推奨度:A」となっていますが、実は治療優先度について差があります。
「ミノキシジル外用治療」は効果が証明されている治療ではありますが、AGAの根本原因を解決するものではありませんので、単独使用では一時的な改善はしても将来的にAGAが進行してしまいます。
AGAの根本的治療である内服治療をしたうえで行う補助的治療、と考えてください。
ですが女性の薄毛については、AGA内服薬のような特効薬がないので推奨度、優先度ともに一番高い治療になります。(男性用ミノキシジルは5%、女性用ミノキシジルは1%のものが承認されています。)
医学的根拠のない他の一般的な育毛剤と同列に考えられがちですが、ミノキシジルは明確に毛を太くする効果が証明されている治療薬です。混合しないように気を付けてください。
自毛植毛手術、低出力レーザー…「推奨度B」の治療法
■自毛植毛手術「男性推奨度:B(勧める)」
自分自身の(主に後頭部の)太い毛を、毛の少ない部分に移植する「自毛植毛手術」も推奨された治療です。
内服や外用治療は明確な効果があるとはいいますが、個人差や薄毛進行度によっては完全によくなりきらないことがあるのもまた事実です。そんな場合でもさらに改善することができるのが植毛手術ですが、あくまで手術であるうえ高額になることも多いことから、必須ではなく追加で行う治療選択肢の1つ程度に考えてください。
女性に対しては研究件数が少ないことから「推奨度:C1(行ってもよい)」となっていますが、特にリスクがあるという訳でもなく男女とも同様に考えて大丈夫です。
人工毛移植については「推奨度:D(行うべきではない)」とされています。いまだに一部で行われているようですが、明らかに頭皮に障害を与えるものですので注意してください。
■赤色LED、低出力レーザー「推奨度:B(勧める)」
一定の波長のLEDやレーザーには美肌効果があることなども報告されています。同様に髪の毛にも改善効果があるという報告があり、また一定の安全性も確認されていることからガイドラインで推奨されています。
ですが世界的に広く確証を持って使われているというわけでもなく、フィナステリド・デュタステリド内服やミノキシジル外用剤などと比べると優先度は低いと思われます。
優先度の高い治療を行ったうえで、「それ以上の改善希望」と「予算」があるようであれば選択肢に入れていただいてもいいかと思います。
■アデノシン外用剤「男性推奨度:B(勧める)」
一部の育毛剤に配合されているアデノシン外用についても「ミノキシジル外用剤と同等の効果があると示唆された」という報告があり推奨されています。女性についても研究件数の差で「女性推奨度:C1(行ってもよい)」となっていますが、特に差はないでしょう。
こちらも推奨はされていますが治療優先度としては比較的高くはない、「希望と予算次第で選択肢に入る治療」と考えてよいでしょう。
ガイドラインでは「かつら」についても言及
■かつら「推奨度:C1(行ってもよい)」
ガイドラインではかつらについても言及されています。これは薄毛を治す「治療」ではありませんが、社会的生活を送る上での対処法として医学的な調査が行われ、生活の質(QOL)や満足度を改善させる一定の効果を示しています。こちらもご自身の生活スタイルを考えたうえでの選択肢の1つと考えてください。
他にもいくつか「推奨度:C1(行ってもよい)」という治療はありますが、あくまで一定の安全性が確認されたうえで「行っても悪いことはないでしょう」という意味合いになります。
AGAに対して明確な効果が示されているわけでもないので、治療優先度は低いと考えてよいでしょう。
また、ガイドラインで触れられていない治療法・成分については医学的根拠となるような検証が行われておらず、少なくとも明確な効果は示されていないといえます。
前回のガイドライン作成から時間が経っていますが、現時点で特に新しい治療法の報告がないことも付け加えておきます。
治療方法を選ぶ際は「推奨度」と「優先度」を確認
ガイドラインで検証されている治療法ごとに「推奨度」と「治療優先度」について解説しましたが、長くなったのでまとめます。
男性型脱毛症については
- まず行うべき推奨度、優先度の高い治療はフィナステリド・ミノキシジル内服治療。
- 次に追加するならばミノキシジル外用剤治療。
- あとはご自身の希望に合わせて治療追加。
女性の薄毛については、
- まずはミノキシジル外用剤治療。
- あとはご自身の希望に合わせて治療追加。
追加治療については、あくまで希望に応じて行うもので必須のものではありません。
そもそも、命にかかわらない薄毛治療が必須か否か、という話にもなるのですが、少なくとも薄毛治療は「ご自身の希望に合わせてご自身が選択するもの」と考えてください。
近頃はインターネットやテレビCMなどでも様々な「髪の毛治療」を見かけます。種類も値段も宣伝文句も千差万別で、迷ってしまうのも当然でしょう。そんなときこそ「ガイドラインの存在」「治療の推奨度、優先度」を知っているか知らないかで、治療選択による将来の結果も大きく左右されてしまいます。
医学的な根拠のない治療、検証が不十分な治療などに出費する際は十分に考えたうえで、正しい情報、間違った情報、を取捨選択するようにしてください。
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こちらの記事の監修医師
東京メモリアルクリニック
栁澤 正之
医学博士/日本形成外科学会 認定専門医/第27回日本臨床毛髪学会 学会長
日本で初めてAGAに対するフィナステリド治療を開始した東京メモリアルクリニックの3代目院長を務め、30年間に渡るAGA・薄毛治療理念を継承。日本臨床毛髪学会の学会長を歴代最年少で任された、次世代AGA・薄毛治療の旗手。
最近ではオンラインAGA診療「Oops-Hair」の診療担当を務め、日本全国の薄毛で悩む患者に対して、スマートフォンで手軽に適切なAGA診療を提供している。
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