最終更新日:2021年8月24日
カンピロバクター腸炎の症状を解説!原因や感染経路は?カンピロバクター腸炎の対処法や予防法もご紹介
こちらの記事の監修医師
医療法人菁莱軒田中医院
鈴木歩

カンピロバクター腸炎は誰もがかかる可能性がある疾患です。
細菌の一種であるカンピロバクターに感染することで胃腸に症状が出現します。
誰でもかかるとはいえ予防可能な疾患でもあるため、まずはカンピロバクター腸炎の症状や感染経路を知っておきましょう。
カンピロバクター腸炎の症状

カンピロバクター属の細菌に感染しても、すぐに症状が出るわけではありません。潜伏期間は通常2〜5日です。
発症すると胃腸を中心としたつらい症状が約1週間続きます。
ほぼ100%下痢になる
カンピロバクターが腸管に感染するため、ほぼ100%の確率で下痢の症状が出ます。
この症状は感染後2日以内、早ければ数時間後に出現することもあり、継続期間は1~3日程度です。血便が出る方もいます。
発熱や腹痛・吐き気
細菌感染によって免疫が働くため、38~40℃の発熱や筋肉痛・関節痛の症状が出ます。
また下痢に伴ってお腹が痛くなりますし、吐き気を感じることも少なくありません。
これらの症状は数日で落ち着くことがほとんどですが、下痢がおさまっても腹痛は長引く傾向です。
重症化すると脱水症状に
子どもや高齢者のように抵抗力が弱い方や、基礎疾患で免疫力が低下している方では症状が強く出る、あるいは長引くことがあります。
水様性の下痢が長く続いた場合に注意したいのが脱水症状です。
体が小さな子どもは脱水になりやすく、高齢者の場合は口からの水分摂取だけでは脱水が補えないこともあります。
まれに合併症を起こすことも
カンピロバクターは麻痺性疾患との関係が示唆されています。その一つがギラン・バレー症候群です。
発症から1~2週間後に手足の筋力低下が見られ、進行すると呼吸筋の麻痺から呼吸困難を起こすケースもあります。
また細菌が血中に侵入する敗血症や髄膜炎などにも注意が必要です。
カンピロバクター腸炎の主な原因

カンピロバクターは微好気性菌という特殊な細菌で、酸素濃度が5〜10%程度の環境を好みます。また30~46℃の温度で増殖するのが特徴です。
こうした環境が整っている動物の腸に生息していることがよくあります。中でも特に多いのは「鶏」です。
また動物の排泄物にもカンピロバクターが排出されます。そのため排泄物で汚染された水も感染源です。
カンピロバクター腸炎の感染経路

主な感染経路は食べ物・飲み物による「経口感染」です。
日常的に口にする食肉が感染源になりやすく、年齢層としては10〜20代の感染が多く見られます。
大半は生肉や生焼け肉の摂取から
カンピロバクターの感染源として多いのが、火を通しきれていない「生焼けの肉」です。
見た目には火が通っているように見えても、細菌が死滅するほどの温度まで上がっていないことがあります。
またリスクが高いのは生肉やタタキです。
家庭で食べることは多くありませんが、居酒屋では新鮮な生肉を提供することがあります。
肉自体は新鮮だとしても、別の加熱用肉を触った手で生肉を調理すれば菌が移ってしまう可能性は高いでしょう。
鶏肉は流通の過程で人の手に触れる回数が多く、豚肉や牛肉と比べて感染リスクが高いとされています。
その他の汚染された食品や水などから

カンピロバクターに汚染された生肉が他の食品に触れることでも菌が移ります。生肉を切ったまな板や包丁で他の食材を調理しても同様です。
肉にはしっかり火を通していても、生食の野菜には菌が付着しているかもしれません。食材だけでなく食器もその可能性があります。
またペットを飼っている場合はフンの処理やトイレ掃除の際に感染するケースが少なくありません。
排泄物に直接触っていなくても、それを処理する道具には菌が付着している可能性もあります。
あるいは野生の動物と触れ合ったときにも注意が必要です。
消毒が不十分な井戸水などから
肉にはよく火を通し、ペットと触れ合ったら手を洗うといった対策をとっても「まさか」というところに感染のリスクが潜んでいます。
それが井戸水や湧き水です。
一見きれいな水でも、野鳥や動物がその上流で排泄をしているかもしれません。井戸水や簡易水道水も感染源になる可能性があります。
自然な水を口にする際はできるかぎり煮沸してから口にしてください。
井戸水は管理されているように見えてそうとは限りません。出所がわからない水は口に入れないことです。
カンピロバクター腸炎の潜伏期間

カンピロバクター腸炎で特徴的なのは潜伏期間です。
カンピロバクター以外の食中毒菌の場合、平均的な潜伏期間は2〜3日とされています。
一方カンピロバクターは2〜5日、長いと10日後に発症することもあり、潜伏期間が長いのが特徴です。
そのため下痢の症状が出始めても、10日も前の食事による食中毒だとはなかなか気付きません。
カンピロバクター腸炎になりやすい時期

気温が高くなると細菌が繁殖しやすいため、夏にかけて食中毒の発生頻度が高くなります。
しかしカンピロバクターの感染は5〜6月にピークを迎えます。また気温が下がってくる10月頃にも発生しやすいのが特徴です。
カンピロバクターに限ったことではありませんが、食中毒は1年を通して発生する可能性があります。
カンピロバクター腸炎の治療法

カンピロバクター腸炎は自然に治癒することが多く、下痢の症状が出る1〜2日を過ぎれば徐々に回復していく方が大半です。
しかし下痢の程度には個人差があり、しばらくトイレから出られないほどの水様便に見舞われる方もいます。
下痢が止まらない場合、市販の下痢止めを飲むのは避けてください。
下痢は腸内のカンピロバクターをいち早く体外に排出するために起こります。下痢止めを飲むことで菌の排出を妨げてしまうのです。
その結果症状が長引く、あるいは悪化するといった状態に陥ります。
あまりにもひどい症状が出た場合は病院を受診してください。たとえ原因菌が特定できていない段階であっても、腸内環境を回復させるための整腸剤を処方してもらえることがあります。
また症状が落ち着くまでの食事指導を受ければ、体への負担を減らしながら必要な栄養を摂取することができるでしょう。
下痢がひどいときには水分摂取が重要です。下痢は想像以上に水分を奪っていきます。
また水だけでは塩分が不足するため、経口補水液を上手に活用しましょう。
カンピロバクター腸炎は人から感染する病気ではありません。登校や出勤をしてもまず問題ないでしょう。
とはいえ下痢がひどい状態なら自宅で安静に過ごす必要があります。常に水分が補給できる状態にしておくためにも自宅安静が安心です。
脱水症状が進行すると自力で水分が摂れない状態になり、大変危険です。そうなる前に病院を受診しましょう。
病院では脱水の程度を確認し、治療が必要な水分状態であれば点滴によって脱水を補います。
カンピロバクター腸炎の予防法

カンピロバクターは微好気性菌であり、人間が生活する酸素濃度に置かれると生きていられません。
もちろん酸素がない状態でも死滅していきます。
また湿度を好むため乾燥した環境でも増殖できません。
こうした特徴を踏まえて、カンピロバクター腸炎の予防に努めましょう。
調理や食事の前によく手を洗う
カンピロバクターが付着した肉を触った手でまな板に触れ、まな板の上で野菜を切った包丁で別の食材を切る。
最初は肉にだけ付着していたカンピロバクターが調理器具や食材に至るまで様々なものに付着していくことが分かります。
こうして菌が付着した食材を家族で食べたら、家族でカンピロバクター腸炎にかかる可能性があるでしょう。
たとえ菌が付着してもそれを拡散させないことが重要です。
そのためには調理の作業工程に入る前に手を洗い、次の工程に移る前に手を洗うことです。
調理器具を清潔に保ち乾燥させる
調理器具は場所を取るものの、食事の支度をしながら調理器具を洗うのは煩雑で、後回しにしがちです。
しかしそこに菌が付着している場合、生育できる環境にあればどんどん菌が増殖していきます。
場所がないからといってまな板の上に食器を置けば食器に菌が付着し、手に付着し、感染が広がっていくでしょう。
調理器具はできれば使用後速やかに洗浄してください。特に生肉を処理した器具は洗剤を使ってよく洗いましょう。
洗った後はそのまま引き出しなどに入れず、かならず乾燥させてから収納してください。
洗った後に熱湯をかけると、その熱により残りの細菌が死滅すると同時に水分が蒸発しやすいため乾燥するまでの時間を短縮できます。
また食器用の除菌剤を使って定期的に除菌するといいでしょう。
生肉に触れる調理器具を分ける

生肉を調理するまな板や包丁は、他の食材のものとは別に用意すると安心です。
食材を変える度によく洗えばいいのですが、やはり手間がかかります。また洗った後は一度乾燥させて菌を死滅させたほうが感染リスクを下げられます。
まな板の代わりに牛乳パックを使い、使用後はゴミとして廃棄するのも一つの方法です。
十分に火を通す
肉を調理する際は肉の中の方まで十分火を通しましょう。鶏肉の場合は肉の赤みが消えて肉汁が出なくなるくらいにすると安心です。
外食で肉を食べるときにも火の通りを確認してください。生焼けのように見えた場合は必ず加熱を依頼しましょう。
まとめ

生肉は通常冷蔵庫やその中のチルドルームで保存します。
しかしカンピロバクターは冷蔵庫の庫内温度程度で死滅しません。増殖スピードが遅れるだけで増殖を続けています。
冷凍の場合、増殖は止まりますが菌は存在し、常温に戻れば再び増殖を開始するのです。
買ってきた生肉はできるだけ速やかに火を通して調理しましょう。もし冷凍保存をする場合、肉に厚みがあると温度がなかなか下がらず菌が増殖します。肉は小分けにして急速冷凍してください。小分けにするときは清潔な器具を使い、手早く冷凍します。
適切な保存によって菌を「増やさない」こと、ついた菌を別の部位に「移さない」こと、菌が付着しても加熱で死滅させ「取り込まない」ことが重要です。
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こちらの記事の監修医師
医療法人菁莱軒田中医院
鈴木歩
〇病院名 :医療法人菁莱軒田中医院
〇医師 :鈴木歩
〇アクセス:青森県三戸郡五戸町鍛冶屋窪上ミ33-2
〇診療科 :内科 / 在宅療養支援診療所
〇経歴:平成13年 自治医科大学卒業
平成13年 青森県立中央病院
平成15年 田子病院
平成17年 むつ総合病院
平成19年 八戸赤十字病院
平成20年 大間病院 副院長
平成22年 八戸赤十字病院 内科副部長
平成26年 八戸赤十字病院 内科部長
平成29年 医療法人菁莱軒田中医院院長
日本内科学会認定医
消化器内視鏡学会専門医
消化器病学会専門医
消化管学会専門医
日本プライマリ・ケア連合学会認定医
日本がん治療認定医機構認定医
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