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整形外科では「異常なし」…原因不明の足痛で疑われる「血管の病気」の恐怖【専門医が解説】【イシャチョク】

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最終更新日:2022年3月26日

整形外科では「異常なし」…原因不明の足痛で疑われる「血管の病気」の恐怖【専門医が解説】

こちらの記事の監修医師
社会医療法人社団 森山医会 森山記念病院
曽川 正和

※画像はイメージです/PIXTA

整形外科や皮膚科を受診したものの、なかなか治らない足の痛み……実は「ある状態に陥っている」と、森山記念病院心臓血管外科の曽川正和先生はいいます。本記事では、3名の例をもとに原因不明の足の痛みの原因と治療方法について解説します。

足が痛い!よくある3つの例

整形外科では「異常なし」…歩いていると足が痛むAさん

患者A:最近、歩いているとだんだん足が痛くなり、休んでしまいます。特に、坂道や階段はきついです。しばらく休むと痛みはひき、歩けるようになります。先日、整形外科を受診しましたが、「骨に異常はない」といわれてしまいました。

【医師の解説】

歩いていて徐々にふくらはぎや大腿部が痛くなり、歩けなくなる状態は、主に動脈の異常です。動脈が動脈硬化をおこし、内腔が狭くなり、狭くなった先の血流が少なくなるために生じます。このような動脈の内腔が狭くなった状態を「閉塞性動脈硬化症」と呼びます。

足の傷が治りにくいBさんの原因は「虚血」


患者B:最近、足に傷ができたのですが、1ヵ月経っても治りません。どうしてなのでしょうか?

【医師の解説】

傷が治りにくい原因はいくつかありますが、そのなかでも足の血流が不足している「虚血」のために、傷が治りにくい人がいます。その場合、傷の治療だけではなく、血流を改善する治療が必要となります。

皮膚科に行っても治らない…皮膚欠損が徐々に大きくなるCさん


患者C:最初は小さな皮膚欠損だったのですが、徐々に大きくなり、治る気配がありません。皮膚科を受診し、軟膏を処方され、塗っていますが、いっこうによくなりません。

【医師の解説】

医師:皮膚が欠損した状態「皮膚潰瘍」は、いくつかの原因で生じますが、血流不足で生じることがあります。

上の3例はいずれも「閉塞性動脈硬化症」

上記の例では、3名いずれもが「閉塞性動脈硬化症」といわれる動脈の病気の症状です。下肢の動脈が動脈硬化により狭くなったり、詰まったりします。それより先に血液が十分にいかないため、歩いていると足が痛くなったりします。

「足が悪くなった」と整形外科を受診される方が多いのですが、これは血管の病気です。

皆さまのご近所に、整形外科医院や皮膚科医院はあっても「血管外科」や「心臓血管外科」の医院はあまり見かけないと思います。そのため、足の症状があると多くの方は整形外科医院や皮膚科医院を受診しているのが現状です。

もし、動脈の血流不足が疑われるようでしたら、早めに血管外科または、心臓血管外科のある病院を受診しましょう。

医師の触診により診断が可能

診断は、比較的簡単にできます。専門医が動脈を触診することで、ほとんどの場合診断がつきます。客観的な検査法として、四肢の血圧を測定し、下肢の血流を調べる「ABI」という検査がよく行われます。

最終的には、CTによる画像診断により、どの部位の動脈が狭くなったり、詰まったりしているかがわかります。

4つの治療方法

病状により開始する治療法が異なりますが、

  1. 薬物療法
  2. リハビリテーション
  3. 血管内治療(カテーテル治療)
  4. 手術治療

の4つがあります。ここでは、3.血管内治療と4.手術治療について詳しくお話します。

血管内治療(カテーテル治療)

3.の「血管内治療」とは、カテーテルで治療を行う方法です。

血管の内側から風船(バルーン)で狭いところを拡げます。バルーンで拡げただけだとまた狭くなりやすいので、「ステント」と呼ばれる筒状の金網を入れたり、バルーンの周りに薬が塗布されていてその薬が狭くなったところに付着することで、再び狭くなることを防ぎます。ただし、ステントは留置できない部位もあります。

血管内治療は、局所麻酔で行います。また、皮膚を切開しないため、体への負担は少なくて済みます。このため、高齢者に対しても行える治療法です。入院期間は2~3日程度です。

手術治療

4.の手術は、狭くなった血管の部位の前後で人工血管または自分の静脈を用いてつなげることにより、血流を迂回(バイパス)させ、血液不足の部分に血液を流す手術です。そのため「バイパス手術」と呼ばれています。

以下はバイパス手術の一例です。赤い部分が動脈で、青部位がバイパスした血管です。

 

   [図表]バイパス手術の一例

  

バイパス手術は、全身麻酔で行います。皮膚を切開し、動脈を露出する必要がありますので、血管内治療に比べ、体への負担は大きいです。入院期間は1週間程度です。

治療の確実性についてですが、3.の血管内治療は病変まで、バルーンを到達することができずに不成功で終わることも稀にあります。

また、狭い部位を拡張後、再び狭くなる「再狭窄」と呼ばれる現象も生じることがありますが、複数回治療できるメリットもあります。

4.の手術はほぼ確実に治療ができますが、やはりバイパスが狭くなったり、詰まったりすることも稀にあります。

「閉塞性動脈硬化症」になる原因

多くの場合、動脈硬化が原因です。動脈硬化は、加齢、高血圧、糖尿病、脂質異常症(悪玉コレステロールが高くなる病気)、喫煙が原因といわれています。このため、高血圧、糖尿病、脂質異常症の方は、早めに適切な治療を行うことで、閉塞性動脈硬化症の発症を抑えたり、遅くしたりできます。

また、高血圧、糖尿病、脂質異常症は、脳梗塞、心筋梗塞なども引き起こしますので、それらの予防のためにも早めの治療が重要です。

閉塞性動脈硬化症を放置してしまうと、最初は歩くと足が痛くなる程度ですが、その後、なにもしないときでも常に、足が痛くなります。最終的には、足に潰瘍ができ、腐ってきて、足の切断が必要になります。

筆者の外来に訪れた患者さんのなかには、すでに足を切断された方、切断以外に治療法がない方も時々いらっしゃいます。このような不幸な状態にならないためにも,患者さんが早いうちから正しい情報を得て、適切な診療科を受診することが大切です。

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こちらの記事の監修医師

社会医療法人社団 森山医会 森山記念病院

曽川 正和

森山記念病院 心臓血管外科部長
新潟大学卒
医学博士/日本外科学会専門医・指導医/心臓血管外科専門医・修練指導者/日本循環器学会専門医/心臓リハビリテーション指導士/胸部ステントグラフト実施医・指導医/腹部ステントグラフト実施医・指導医/下肢静脈瘤血管内治療実施医・指導医

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